2026年8月31日
AIの普及により、社内に蓄積されたマニュアルや資料、議事録などのナレッジを、必要な場面で生かしやすくなりました。こうしたナレッジの蓄積・共有を支援するツールも数多く登場しています。そのなかで、今回ピックアップしたのが、ナレッジ活用に優れていながらも設計思想が異なるNotionとObsidianです。本記事では、AI時代に求められるナレッジ活用の考え方を整理したうえで、NotionとObsidianの特徴を比較していきます。そして、両ツールがどのような企業やユーザーに適しているかを浮き彫りにします。
ただ、AIの性能を十分に引き出すには、情報が整理され、検索しやすい状態で蓄積されている必要があります。企業がナレッジマネジメントツールを選定する際は、こうしたAIとの連携を見据えた仕組みを考慮することが重要です。
NotionとObsidianの特徴とは? 設計思想が大きく異なる2つのツール
AIを取り巻く動向が目まぐるしく変化するなか、ナレッジマネジメントツールとして注目されているのが、NotionとObsidianです。ただし、両ツールは、ナレッジ活用を目的としたツールであるものの、設計思想に違いがあります。
Notionは、文書の作成やWikiによる情報共有、データベースを活用したプロジェクト・タスク管理などを1つのワークスペースで行える、クラウドベースのオールインワン型のプラットフォームです。複数人で情報を共有しながら更新できるため、企業の部門やチームにおけるナレッジ共有に適しています。
(参考)Notionについて(概要)
https://www.notion.com/ja
一方、Obsidianはローカル環境にデータを蓄積するノートアプリに近い特徴を持っています。Markdown形式で情報を蓄積し、ノート同士を自由にリンクさせながら、自分自身の知識や考えを整理し、自らの発想を育てることを主軸にしています。記事構成の作成や研究テーマの整理、企画立案などのシーンで、関連情報を視覚的に確認しながら発想を広げられるのが特徴です。
チーム全体でリアルタイムに情報を共有する場合は、同期方法や更新ルールなどを検討する必要があります。そのため、部門やチームのナレッジ管理よりも、個人の知識管理やアイデア創出に適したツールといえるでしょう。
(参考)Obsidianについて(概要)
https://obsidian.md
NotionとObsidianの機能の違いを比較
NotionとObsidianは、どちらもナレッジを活用できるツールです。しかし、設計思想や得意な用途は大きく異なるため、導入を検討する際は目的に応じて要件の整理をする必要があります。
Notionは「ページとデータベース」、Obsidianは「リンク」で情報を整理
NotionとObsidianでは、情報を整理する際の中心となる機能が異なります。
Notionでは、文章や画像などをまとめた「ページ」を作成し、階層化して整理できます。さらに、データベースを使うことで、各ページにカテゴリや担当者、ステータス、期限などの属性を付与できます。例えば、社内マニュアルを部署やテーマごとに分類したり、議事録をプロジェクト名や開催日で絞り込んだりすることが可能です。
登録した情報は、条件に応じて絞り込みや並べ替えができるほか、テーブル、ボード、カレンダーなど、用途に合った形式で表示できます。また、リレーション機能を使えば、プロジェクトとタスク、顧客と商談、マニュアルと関連資料など、異なるデータベースの情報同士を関連付けられます。このように、ページに蓄積した情報を共通のルールに沿って構造化し、探しやすく再利用しやすい状態に整えられることがNotionの特徴です。
一方、Obsidianでは、Markdown形式で作成したノート同士を「リンク」でつなぎながら情報を整理します。ノート内のキーワードを[[ ]](二重カッコ)で囲むことで、関連する別のノートへのリンクを簡単に作成できます。
「バックリンクパネル」を使うと、現在開いているノートがほかのどのノートから参照されているのかを確認できます。また、「グラフビュー」では、ノート同士の関係性を点と線で可視化できます。情報を決められた分類に当てはめるだけでなく、知識同士のつながりを残せるため、過去のメモから思いがけない関係性を発見し、新たな気づきやアイデアへ発展させられます。
このように、ページに情報を蓄積し、属性やリレーションを使って業務に合わせて管理するならNotion、ノート同士をリンクでつなぎ、知識の関係性をたどりながら思考を広げるならObsidianが適しています。
NotionとObsidianの情報共有・更新方法の違い
Notionは、クラウド上のワークスペースで複数人が情報を共有し、共同で更新できるように設計されています。メンバーが同じページをリアルタイムで編集できるほか、コメントやメンションを使ってページ上でコミュニケーションを取ることも可能です。また、ページごとに閲覧・編集権限を設定できるため、部門や役割に応じて情報の公開範囲を管理できます。
例えば、社内マニュアルの更新、新しい業務ルールの周知、議事録への追記などを1つのワークスペース上で行えます。情報の保存場所と最新版をチームで共有しやすく、組織の共通ナレッジを継続的に更新していく用途に適しています。
一方、Obsidianは、Markdown形式のファイルをユーザーのローカル環境に保存することを基本としています。インターネットに接続していない環境でも利用でき、保存場所やバックアップ方法を自分で選べるため、データを手元で管理しやすい点が特徴です。
複数の端末でノートを利用する場合は、Obsidian Syncなどの同期サービスを利用できます。ただし、複数人によるリアルタイムな共同編集や組織全体での情報共有を行う場合は、ファイルの同期方法や更新ルールなどを別途検討する必要があります。
このように、チームで同じ情報を共有しながら継続的に更新するならNotion、データを手元に置き、自分の環境で管理するならObsidianが適しています。
NotionとObsidianが持つAI機能
AI活用の観点では、Notionのほうが企業利用を意識した機能が充実しています。
Notionには独自の「Notion AI」が搭載されており、文章作成や要約、翻訳、議事録の整理、タスク抽出などをワークスペース内で利用できます。また、用途に応じてOpenAIのGPTやAnthropicのClaude、GoogleのGeminiなど、複数のAIモデルから選択できます。また、蓄積された社内の情報を横断検索し、必要な情報を対話形式で取得できます。社内の情報はNotion内に蓄積された情報にとどまりません。あらかじめ連携させておけば、SlackやGoogleドライブに格納された情報も検索対象に含めることができます。そのため、検索ツールとしては、高い精度で情報が得られ、効果的なナレッジ活用が可能です。
AI活用の具体例として、営業担当者が過去の提案事例について質問すると、Notion AIがNotion内に蓄積された提案資料や議事録を参照し、関連情報を提示できます。また、会議後には議事録を要約してタスクや担当者を抽出するなど、蓄積されたナレッジを日々の業務に活用することも可能です。
一方、Obsidianには、標準搭載のAI機能がありません。ただし、コミュニティプラグインやMCP(Model Context Protocol)を利用することで、ClaudeやChatGPTなどの生成AIと連携できます。これにより、Obsidian内に保存したノートを参照した質問への回答や文章の要約、アイデア出し、関連するノートの発見などにAIを活用できます。利用するAIモデルや連携方法を目的に合わせて選び、自分に適した環境を構築できる点が特徴です。
AI活用の具体例として、Obsidianに蓄積した研究メモや企画案をAIに参照させ、過去の情報をもとに論点を整理したり、新しい企画の構成案を作成したりする方法があります。一方で、プラグインの選定・導入、APIキーやMCPの設定、AIに参照させる情報の範囲などは、ユーザー自身で管理する必要があります。また、利用するプラグインや外部サービスによってデータの取り扱いが異なるため、企業で利用する場合はセキュリティ面の確認も必要です。Notionのように統合されたAI機能をすぐに利用するというより、自分の用途や管理方針に合わせてAI環境を柔軟に構築したいユーザーに適しています。
こういった背景を鑑みると、AIをすぐに業務へ取り入れたい企業であればNotion、自分好みにAI環境を構築したいユーザーにはObsidianが適しているでしょう。
価格と導入のしやすさ
NotionとObsidianは、どちらも無料で利用できます。
Notionは個人向けの無料プランに加え、チーム向けの「ビジネス」プランや「エンタープライズ」プランを提供しています。特に「エンタープライズ」プランでは、高度な権限管理や管理機能、セキュリティ機能が利用でき、大規模な組織での運用にも対応可能です。最新の料金については、公式サイトをご確認ください。
(参考)Notionの料金プラン
https://www.notion.com/ja/pricing
Obsidianも基本機能を無料で利用できます。有料サービスでは、同期サービス「Obsidian Sync」やノート公開サービス「Obsidian Publish」などを利用できます。詳細は公式サイトでご確認ください。
(参考)Obsidianの料金プラン
| 比較項目 | Notion | Obsidian |
|---|---|---|
| 情報整理の中心 | ページとデータベース | Markdown形式のノートとリンク |
| 情報の関連付け | リレーションで関連情報を接続 | [[ ]]で関連するノートへリンク付け |
| 情報活用の特徴 | 情報を構造化し、検索・再利用しやすい状態に整える | 知識同士の思いがけない関係を発見し、発想を広げる |
| データの保存場所・オフライン利用 |
クラウド上のワークスペース。 基本はオンラインだが、事前にダウンロードしたページはオフラインでも閲覧・編集可能 |
ユーザーのローカル環境。 ローカル保存が基本で、オフラインでも利用可能 |
| 情報共有・共同編集 | 複数人によるリアルタイムの共有・共同編集に対応 | Obsidian Syncで共有Vaultを共同利用可能。ただし、同じファイルのライブ編集には非対応 |
| コミュニケーション | コメントやメンションをページ上で利用可能 | 標準ではコメントやメンションなどの共同コミュニケーション機能は限定的。必要に応じてプラグインなどで補完 |
| 権限管理 | ページごとに閲覧・編集権限を設定可能 | 保存場所やファイルの管理方法に応じて設定可能 |
| 複数端末での利用 | ワークスペース上の情報を共有 | Obsidian Syncなどの同期サービスを利用 |
| 適した用途 | チームや企業の業務情報・社内ナレッジ管理 | 個人の知識整理や思考・アイデアの発展 |
チームで情報を共有するならNotion、個人の思考を深めるならObsidianがおすすめ
Notionは、チームで情報を共有しながら業務を進めることを前提に設計されています。マニュアルや議事録、プロジェクト管理、タスク管理などを1つのワークスペースに集約でき、誰でも必要な情報へアクセスできます。
また、ページごとのアクセス権限や共同編集機能も細やかに考慮され製品に生かされています。部門やチームで横断的に情報を管理・共有しやすいため、企業がナレッジマネジメントを行ううえで相性がよいでしょう。
一方、Obsidianは、個人の知識やアイデアを蓄積・整理し、思考を深める用途に適したツールです。Markdown形式で作成したメモを相互にリンクし、バックリンクやグラフビューを使って知識同士の関係性を可視化できます。また、データは基本的にローカル環境へ保存されるため、オフラインでも利用でき、保存場所やバックアップ方法を自分で選べます。データを手元で管理しながら、蓄積したメモのつながりから新たな気づきやアイデアを得られる点が特徴です。
Notionを利用したナレッジマネジメントならノースサンドへ
NotionとObsidianは、どちらも優れたナレッジ活用ツールですが、適した利用シーンが異なる点を紹介してきました。しかし、企業がこうしたツールを導入するだけでは、ナレッジマネジメントがすぐに実現できるわけではありません。情報設計や権限管理、運用ルールの整備、利用定着までを見据えることが重要です。
Notionについては、ノースサンドが企業の「あるべき姿」を見据えたうえで情報設計を行い導入支援するプロジェクトを数多く手がけています。そして、ノースサンドはNotionの導入のみならず、企業ごとの課題に合わせた、定着に向けた伴走支援も提供しています。
また、ノースサンドでは次のようなサービスも提供しています。
日本円での請求書払いに対応(為替によるコスト変動の心配がない)
社内のNotion利用を定着させるためのトレーニングを提供
企業向けのNotion高機能テンプレートを配布
日本語によるチャットサポートを完備
Notionのメリットを感じ、Notionを最大限に活用したいという企業は、ぜひ一度ノースサンドにご相談ください。