2026年10月8日
2026年7月に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による「DX動向2026」が発行されました。日本企業のDXへの取り組みが広がる一方で、成果を十分に把握できていない企業や、成果指標を設定できていない企業も少なくありません。本記事では、「DX動向2026」の調査データをもとに、国内企業のDX成果の現状と、成果を測定・改善するうえでの課題を整理し、その基盤となるナレッジ統合基盤について考えます。
「DX動向2026」から見るDX成果の現在地
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で「2025年の崖」という言葉が使われたことなどを背景に、多くの企業がDXに取り組んできました。コスト削減や業務効率化では一定の成果が見られる一方、重要なのは、DXを実施すること自体ではなく、その成果を把握し、次の施策や意思決定に活かしながら継続的に改善することです。
国内企業がDXの効果をどこまで把握し、その後の改善に活かせているかを明らかにしたのが、2026年7月に公開された「DX動向2026」です。これは、独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)が国内企業のDXやAI活用の状況を調査・分析した報告書です。
これによると、DXによる経営面の成果では「成果が出ている」と回答した企業の割合は60.8%でした。
【参考】独立行政法人情報処理推進機構 「DX動向2026」
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf
DXの取り組み成果(経年比較)(図表2-5)
また、具体的な成果の内容は「コスト(人件費・材料費等)削減」が70.9%ともっとも高くなっています。その一方で、「売上高増加」は17.9%、「利益増加」は19.6%にとどまり、2024年度調査の米国、ドイツとの差は大きいままとなっています。
DXによる経営面の成果内容(図表2-6)
DXはコスト削減や業務効率化などで成果が出ているのが調査からもわかります。一方、売上拡大や利益増加といった事業成果は限定的であると見られます。
売上や利益などの事業成果を高めるには、デジタル技術を導入するだけでは不十分です。取り組みの結果を把握し、得られたデータや知見を次の施策へ活かす必要があります。では、企業はDXの成果を把握・活用する体制をどこまで整えられているのでしょうか。
DXの成果を次の施策につなげるうえでの課題
「DX動向2026」から見える最も基本的な課題は、DXの成果を十分に把握できていないことです。そのうえで、把握した成果や社内の情報を業務へ活かす段階では、AIを事業成果につなげられていないことや、DX・AIを推進する人材が不足していることも課題となります。ここでは、まず成果把握の課題を確認し、続いてAI活用と人材の課題を整理します。
DXの成果を十分に把握できていない
DXの成果が「わからない」とする企業は26.8%ほど存在します。また、成果指標を設定している企業は23.9%と、4社に1社にも満たない状況です(図表2-14「成果指標の設定状況(経年比較)」)。DXを実施しているものの、何が改善し、事業にどう貢献したかを測れていない企業が少なくありません。
成果指標の設定状況(経年比較)(図表2-14)
AIによる事業成果は限定的
成果を把握した後、それを業務や意思決定に活かす段階では、AI活用にも課題があります。DXの推進を背景に、近年はAIが急速に存在感を高めています。AIの導入で一定以上の効果があった企業のうち、「売上や利益が向上した」と回答した企業は3.9%にとどまりました。AI活用の成果は、用途の選定や業務への組み込み方にも左右されます。そのうち、社内情報を参照する用途では、正確なデータやナレッジを整備することが重要です。
AI導入による具体的効果(図表3-14)
DXを推進する人材が不足
さらに、DXの成果を次の施策へ活かすには、自社の業務やデータを理解して施策を推進できる人材が必要です。しかし、DX人材の「量」が不足している企業は85.5%(「やや不足している」「大幅に不足している」の合計)、人材の「質」が不足している企業は88.8%でした(図表4-1「DXを推進する人材の「量」の確保(経年比較)」、図表4-3「DXを推進する人材の「質」の確保(経年比較)」)。
DXを推進する人材の「量」の確保(経年比較)(図表4-1)
DXを推進する人材の「質」の確保(経年比較)(図表4-3)
DX人材と密接に関わるAI人材についても不足が続いています。AI導入・運用上の課題として「専門人材が不足している」と回答した企業は50.1%に上りました。DXとAIの双方で、自社の業務やデータを理解し、施策を企画・推進できる人材の確保が課題となっています。
DXの成果測定と継続的な改善を支えるナレッジ統合基盤
前章で確認した成果把握、AI活用、人材不足は、それぞれ性質の異なる課題であり、ナレッジ統合基盤だけですべてを解決できるものではありません。一方で、いずれの課題に対応するうえでも、必要な情報や知見を蓄積・整理し、人やAIが必要なときに活用できる状態を整えることが重要です。
DXの成果を把握するには、施策の目的や成果指標、実施結果を関連付けて管理する必要があります。AIを業務や意思決定に活用するには、正確な社内データを参照できる状態が欠かせません。また、人材が限られるなかで施策を継続するには、進め方や成功・失敗事例などの知見を組織内で共有することが求められます。
情報活用の土台となるナレッジ統合基盤
こうした情報活用を支えるのが「ナレッジ統合基盤」です。ナレッジ統合基盤とは、企業が保有する情報や知見を集約し、業務や意思決定、AI活用に利用できる状態に整えるための環境を指します。
情報が部門やツールごとに散在していると、必要な情報を探すだけで時間がかかり、施策の振り返りや意思決定に活かしにくくなります。また、AIを導入しても、参照できる情報が不足していれば活用範囲は限定されます。DX施策の成果を把握し、継続的な改善につなげるためにも、社内の情報や知見を必要なときに活用できる基盤を整えることが重要です。
こうしたナレッジ統合基盤をDX施策の継続的な改善につなげるには、情報を集約するだけでなく、成果指標の設定や振り返り、AI活用を含む運用の仕組みが必要です。次に、その具体的な運用方法を見ていきます。
ナレッジ統合基盤を継続的な改善に活かす運用方法
ナレッジ統合基盤は、情報を集約するだけでは十分ではありません。施策の目的、成果指標、実施結果、振り返りを関連付け、改善のサイクルを継続して回すことに加え、蓄積したデータやナレッジをAIが参照できる状態にし、業務や意思決定に組み込むことが重要です。
成果指標による効果測定と継続的な改善
まず、成果指標を設定し、DXにおける投資対効果や事業への効果を確認しながら、施策を改善する仕組みが重要です。成果指標と実施結果を継続的に振り返ることで、成果が出た施策と改善が必要な施策を見極め、次の経営判断や施策に反映しやすくなります。
AIが参照できるナレッジを整備し、業務や意思決定に組み込む
また、ナレッジ統合基盤には、AIによる社内ナレッジの活用にも大きな期待が集まっています。蓄積された社内データをもとに、AIは業務上・経営上の課題解決を支援する役割を担います。AIを単独の便利ツールとして使うのではなく、蓄積したデータやナレッジと組み合わせることが重要です。AIが参照できる情報を整備し、業務や意思決定の流れに組み込むことが、DXを事業成果につなげる次のステージとなります。
ナレッジ統合基盤にNotionが適している理由
ここまで整理した情報管理と運用を、1つのワークスペースで実現する選択肢の一つがNotionです。ここからは、情報の一元管理、DX施策と成果指標の可視化、AIによる社内ナレッジの活用、運用の柔軟性、ガバナンスの観点から、Notionがナレッジ統合基盤に適している理由を具体的に見ていきます。
情報を一元管理し、業務で活用できる
Notionは、文書作成や情報共有、タスク管理を1つのワークスペースにまとめられるツールです。さらに、プロジェクト管理やデータ管理にも対応しています。会議議事録や業務マニュアル、案件情報、プロジェクトの進捗などを関連付けて一元管理できます。情報を「保管する」だけでなく、「業務で使える状態」に整えられ、ユーザー自身が積極的にデータ活用できる点が特徴です。
DX施策と成果指標を継続的に可視化できる
Notionのデータベースでは、DX施策ごとの目標やKPIを管理できます。担当者や進捗、実施結果なども関連付けられます。施策と成果指標を継続的に可視化することで、DXの進捗や事業への効果を確認し、次の改善につなげやすくなります。
例えば、DX施策を管理するデータベースを作成し、「施策名」「目的」「KPI」「担当者」「進捗」「実績」「振り返り」を項目として設定します。月次レビューではKPIと実績を比較し、振り返りの内容を次の施策に反映できます。
Notion AIで社内ナレッジを横断活用できる
また、Notionには独自の「Notion AI」を備えています。Notion AIは、アクセス権限のあるNotion内の情報を検索できます。さらに、GoogleドライブやSlackなど、接続済みアプリの情報も横断的に検索できます。プロジェクトに関する情報だけでなく、関連する社内ナレッジも検索対象に含められます。さらに、Notion AIでは、蓄積した社内ナレッジについて自然な言葉で質問できます。そのやり取りを通じて、必要な情報を抽出することが可能です。これにより、経営に関する意思決定に必要な情報の整理など、手軽で広く活用できるようになります。
例えば、会議議事録や顧客からの要望、DX施策の実績をNotionに集約します。月次レビューの前にNotion AIへ今月の成果や未解決の課題について質問すれば、アクセス権限のある関連情報をもとに、議論すべき論点を整理できます。
誰でも使いやすく、業務に合わせて柔軟に運用できる
Notionは、多くのユーザーにも使いやすいGUIで、社内にある知識や業務プロセスを連携できるようになっています。自社の業務のかたちに合わせて利用できる柔軟性を備えています。ローコード/ノーコードでさまざまな機能を利用できるため、特別な知識をもった社員でなくてもナレッジ共有や活用が容易に行えます。
DX・AI施策の進め方やデータ活用のノウハウ、過去の成功・失敗事例をNotion上に蓄積すれば、専門人材の知見をほかの担当者も参照できます。人材不足そのものを解消するものではありませんが、新たな担当者の学習を支え、限られたDX・AI人材の知見を組織内に広げる環境づくりに貢献します。
全社利用を支えるガバナンス機能を備える
さらに、全社規模でナレッジ統合基盤をベースとしたDXを進める場合は、利便性だけでなくガバナンスの整備も欠かせません。Notionのエンタープライズプランでは、SSOやSCIM、監査ログ、高度な権限管理などの企業向けの機能を備えています。ナレッジを集約しながら、組織として安全に運用できる環境を整えやすい点もNotionの特徴といえます。
Notionの導入はノースサンドへ。設計から運用、定着まで徹底支援
DX施策の成果を継続的に把握・改善し、事業成果につなげるには、ナレッジを統合するツールを導入するだけでは十分ではありません。施策の目的や成果指標、実施結果を関連付ける情報設計と、それらを振り返って次の施策へ反映する継続的な運用が必要です。ノースサンドは、Notionの導入から社内への利用定着まで、企業の状況に合わせた支援を提供しています。エンタープライズプランの導入では、企業のセキュリティや管理要件を踏まえた相談にも対応しています。
日本円での請求書払いに対応
社内のNotion利用を定着化させるためのトレーニングを提供
企業向けのNotion高機能テンプレートを配布
日本語によるチャットサポートを完備
DX施策の成果を把握し、継続的な改善を事業成果につなげる仕組みを整えたい場合は、ぜひ一度ノースサンドへご相談ください。