短期間でのツールの定着化を実現
ツールゼロの状態からNotionの全社導入
-株式会社サイバーレコード-
ふるさと納税業務の支援を中心に、EC事業者の運営代行で急成長を遂げる株式会社サイバーレコード。
しかし約3年前、同社にはグループウェアも存在せず、情報共有の基盤が整備しきれていないという課題を抱えていました。
この「ツールゼロ」に近い状態から脱却すべく、同社はDXの中核にNotionを据えることを決断。ノースサンドの伴走支援のもと、前例のないスピードでの全社導入に挑みました。
同社はどのようにして全社への定着を実現できたのか。その道のりを、推進者の熱意とノースサンドの支援の軌跡とともに紹介します。
入江 容郎 氏
株式会社サイバーレコード
情報システム室 室長
サマリ
ツールゼロに近い状態から全社DXに向けた情報基盤の整備
データベースの拡張性と柔軟な運用を評価しNotionを選定
強制的な移行という大胆な手法も採り入れながら、ノースサンドによる伴走型の丁寧な支援での全社への浸透
約1カ月という短期間で利用率100%近くまで達し、業務基盤としての全社移行 を実現
ナレッジが点在しつながらない。
「ツールゼロ」に近い状況からの脱却
EC事業者の運営代行をはじめ、ふるさと納税業務やAmazon運営代行などを手がけ大きな成長を遂げている株式会社サイバーレコード。情報システム室 室長の入江氏がサイバーレコードに入社した約3年半前、同社は急成長の過程にありながら、社内の情報基盤は整備しきれていない状態でした。
「当時はグループウェアのようなものがなく、個人のGmailやGoogleドライブでファイル共有が行われている状況でした。『これではまずい』という危機感を最初に感じました」(入江氏)
入江氏を中心に、同社はこの状況を打開し、全社的なDX推進に取り組んでいきました。まず着手したのは、基盤となるGoogle Workspaceの導入です。そして次なる一手として見据えたのが、社内に散在するナレッジを集約し、プロジェクト管理を効率化するためのツール導入でした。
当時の大きな課題は「ナレッジの共有」にあったと入江氏は話します。 「情報は点として存在するものの、それらが結びついておらず、ナレッジからナレッジへの動線がありませんでした。検索性にも課題があり、必要な情報がどこにあるのか分からない。この状態を解決することが急務でした」(入江氏)
プロジェクト管理には他社製の専用ツールが一部で使われていたものの、入江氏は「決められた箱の中で業務を完結させなければならない」という画一的な運用に限界を感じていました。自身で自由に業務プロセスを組み立てられるような柔軟性を求めていた入江氏にとって、既存のツールは「かゆいところに手が届かない」状態でした。
Notion選定の決め手は「拡張性」と「個人的な確信」
数あるツールの中からサイバーレコードがNotionを選んだ決め手は、機能の「拡張性」と、サービスの「将来性」への確信でした。
旗振り役の立場であった入江氏は、個人でNotionを利用するなかで「まず走り出してみて、その後も改善していける柔軟な運用」ができる点に惹かれていました。特に、後からでも自由に項目を追加・変更できるデータベース機能は、他のツールにはない魅力でした。
一方で、自由度の高さは「使いこなすには一定のリテラシーが求められる」という導入ハードルにもなります。しかし、その懸念を払拭させたのが、活発なアップデートから感じられる将来性と、「何より自分が最も推奨するツールを導入したい」 という推進者としての強い想いでした。入江氏は、その熱意でNotion導入へと突き進むことを決意します。
二人三脚のパートナーシップが、
大胆な「強制的な移行」への道を拓く
Notion導入の意思決定後、その全社展開プロジェクトは、以下のステップで進められました。
導入は7つのステップで進められました。
まず入江氏は、自身を含めた3〜4名のチームでNotionの試用を開始し、社内の業務に合わせた活用の型を模索するなかで、本格導入に向けたパートナーとしてノースサンドを選定しました。
「請求書払いに対応している代理店を探していたことと、当時から『X』(旧Twitter)などでノースサンドの情報発信をよく目にしていたことがきっかけです。いくつか候補はありましたが、発信力と知見の豊富さから信頼できると感じ、依頼することに決めました」と入江氏は語ります。
そして、プロジェクト最大の関門である「経営層への説得」は、ノースサンドの担当者と二人三脚で進められました。特に大きな力となったのが、経営層への上申プロセスのサポートです。
入江氏は、「決済者である当社の代表に対して、Notionの良さをひたすら説得しました。既存ツールから置き換えることで、どのようなメリットが生まれ、どんな新しい『世界観』が待っているのか。ノースサンドには、そのための比較資料やプレゼン資料のたたき台を作っていただき、説得材料を一緒に組み立ててもらいました」と、当時の協力体制について語ってくれました。
入江氏の熱意あるプレゼンとロジカルな資料が功を奏し、経営層の承認を得た入江氏は、すぐさまツールの移行に着手しました。折しも、既存ツールの契約更新時期が目前に迫っていました。
「『何月何日をもって旧ツールは使えなくなります』と宣言し、全社員がNotionを使わざるを得ない環境を強制的に作り出したのです」と、当時の大胆な決断を振り返ります。いわばこの強制的な移行は、推進者の熱意が生んだ「荒療治」でした。当然ながら、それは大きな反発を生むリスクにもなります。
ハレーションを乗り越えるための徹底したサポート体制
「新しいツールにすぐ順応して『使いやすくなった』と言う人がいる一方で、『旧ツールではできていたのに……』といったネガティブな声もありました。全員の意見をくみ取ることは難しいと、ある意味で腹を括っていました」と、入江氏は当時の複雑な状況を振り返ります。
この大きな反発を乗り越え、Notionを全社に定着させるために、入江氏とノースサンドは徹底したサポート体制を構築していきました。
▼マニュアルと動画コンテンツの整備
タスクやプロジェクトの作成方法といった基本的な操作について、詳細なマニュアルを作成。さらに、視覚的に理解しやすいよう、操作説明の動画コンテンツも複数用意しました。
ノースサンドの協力のもと、全社員を対象とした研修を6回に分けて実施しました。この研修の様子もすべて録画し、いつでも見返せるナレッジとしてNotion上に保管。現在では、新入社員向けのオンボーディング研修でもこの動画が活用されています。
▼全社研修の実施とアーカイブ化
ノースサンドがお客様に提供しているNotionの「E-learningコンテンツ」です。
ノースサンドのサポートは、資料作成や研修の実施にとどまりませんでした。
「最初の導入フェーズで、たたき台を数多く提供してくれたのは本当に助かりました。当社の業務フローをヒアリングしたうえで、プロジェクト管理やタスク管理のテンプレート、社内ポータルの構成案など、具体的な形を提示してくれました。熊本市のオフィスにも来てもらい、『Notionなんでも相談室』と銘打って一日中常駐し、社員の疑問に直接答えてもらう機会も作っていただきました」と入江氏は話します。
こうした手厚いサポートと、「もうNotionしか使えない」という環境設定が功を奏し、移行期間は約1カ月という驚異的なスピードで完了しています。利用率はほぼ100%に達し、全社の業務基盤は完全にNotionへと移行されたのです。
▼伴走型の導入支援
業務基盤となったNotion、現在の活用と効果
現在、サイバーレコードでは外部のクライアントを含め約470名がNotionを利用しています。その活用範囲は、当初の目的であったプロジェクト管理やナレッジ共有をはじめ、多岐にわたっています。
部署ごとにNotion ページを用意し、情報をまとめています。
プロジェクトの一覧をタイムライン表示し、
進捗が一目でわかるダッシュボードを作成しています。
プロジェクトごとにページを作成し、関連する議事録、資料リンク、タスクなどを一元管理。情報がハブとなる「箱」を作ることで、情報の散在化を防いでいます。
▼プロジェクト管理
社内規定や各種申請フォーム、全体へのお知らせなどを集約し、既読チェック機能も実装しています。
▼社内ポータル/Wiki
社内規定や各種申請フォーム、全体へのお知らせなどを集約し、既読チェック機能も実装しています。
▼各種マニュアル
エンジニアの稼働管理として、出退勤を記録する簡易的な仕組みもNotion上で構築しています。
▼勤怠管理
導入による効果について、入江氏は定性的に大きな変化を実感しているといいます。
「もはやNotionがないと仕事が回らない、というのが正直な感想です。特に印象的だったのは、社員から『保存ボタンを押さなくていいのが便利』という声が上がったことです。クラウドツールに不慣れな社員にとっては、自動保存されるという体験が新鮮で、保存忘れのようなヒューマンエラーがなくなりました。また、マークダウンを知っている社員にとっては、直感的にレイアウトを整えられる点が非常に書きやすいと好評です」(入江氏)
リテラシーの壁を超えて
「仕組み」で支えるDXの実現へ
大きな混乱を乗り越え、Notionを全社に定着させたサイバーレコード。しかし、課題が全てなくなったわけではありませんでした。入江氏は、Notionが持つポテンシャルを全社員が最大限に引き出せているわけではないという、「社内全体のITリテラシー」に次なるテーマを見出していました。
大きな混乱を乗り越え、Notionを全社に定着させたサイバーレコード。しかし、課題が全てなくなったわけではありませんでした。入江氏は、Notionが持つポテンシャルを全社員が最大限に引き出せているわけではないという、「社内全体のITリテラシー」に次なるテーマを見出していました。
「社員のやる気を喚起するのも重要ですが、それ以上に、個人のリテラシーやモチベーションに依存せずとも仕事が回る『仕組み』を作ることの方が大切ではないかと考えています」と、入江氏は自身の考え方の変化を語ります。
その「仕組み」を支える鍵として、入江氏はAIの進化に注目しています。リテラシーの向上に大きなリソースを割くよりも、AIのサポートによって誰もが簡単に業務を完遂できる環境を整える方が合理的かもしれない、という考えです。
今後の活用については、Notion AIの業務への組み込みを模索しつつ、Notionカレンダーの活用や、実装が期待される「データベースコンテンツの共有権限の改善」といったアップデートにも、引き続き注目していきたいと語ります。
ツールゼロの状態から、トップダウンの「強制移行」という荒療治を経て、わずか1カ月で全社定着を実現したサイバーレコード。その成功は、推進者の強い意志と、ノースサンドとの緊密な連携、そして何より「変化せざるを得ない環境」において、覚悟を持って作り上げた実行力にありました。サイバーレコードの挑戦は、DX推進における1つの大胆かつ効果的なアプローチとして、多くの企業にとって示唆に富む事例となるでしょう。
Notionの導入ならノースサンドへ
すでに多くの大企業がNotionを利用し、情報管理やプロジェクト管理を進め、組織の成長の礎としています。ノースサンドでは1ヶ月間無料で導入をサポートしており、以下のようなサービスを実施しております。
1ヶ月間無料でエンタープライズプランを利用可能
社内に浸透して行くためのトレーニングを提供
企業向けの高機能テンプレートの配布
日本語のチャットサポート
日本円での請求書払いに対応
まずは無料相談をしてみませんか
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ウェビナー開催のお知らせ
ノースサンドでは毎月、Notionに関するウェビナーを開催しております。今回はゲストに株式会社サイバーレコードをお迎えします。
本ウェビナーでは、同社がどのようにナレッジベースを構築し、業務の可視化や人材育成に活かしているのか、実践的な取り組みをご紹介します。
ツール導入をこれから検討する企業はもちろん、すでにNotionを導入しているものの、情報管理やプロジェクト運用に課題を感じている方にも参考になる内容です。